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「参加型システム」を定義する……基礎研究会

 日本の政治・経済・社会システムに蔓延する“請負型システム”に対抗する(オルタナティブ)システムとして、生活クラブ運動は30年間、生協、コミュニティ労働、ローカルな政治における“参加型システム”を実践してきました。21世紀の新しい市民社会の展望を切り拓くために、自由、人権、民主主義に基づく“参加型システム”をさらに社会化し、「非営利・協同」セクターの拡大に寄与したいと考え、基礎研究会を開催しています。
 第1クール('01年4〜6月)では、社会・経済・政治の枠組みと内容の概要を捉えようと試みました。第2クール('01年9〜12月)では、生活クラブ運動の内実である生協、W.Co、NETのリーダー達に、研究会メンバーがヒアリングし、“参加型システム”を概括しようとしました。
 第3クール('02年4〜9月)では、これまでの調査・研究を踏まえ、中間討議資料の章立て素案をもとに「ワーキングチーム」が文章化した成案をたたき台として討議を重ね、「中間まとめ(予備討議資料案)」にまとめあげました。
さらに、この「中間まとめ(予備討議資料案)」に基づく討議をもとに、'02年11月13日、フォーラム「21世紀の市民社会を拓くために―『参加型システム』の社会化に向けて定義を試みる」を横浜市内で開催し、フォーラムの報告はブックレット化しました。

<第2期基礎研究会>は、新メンバーにて'03年6月〜'04年8月に15回の研究会を開催し、定義をまとめる報告書作成に向けて以下の議論をした。
1)第1回研究会の主要な討議テーマ
 第1期の概要報告をふまえ、研究会の課題として自由時間の増大と市民社会成熟の相互関係を問うことの重要性が提起された。その他、@社会的な民主主義が政治的民主主義を牽制する力が弱いのはなぜか。A資本主義の産業経済、あるいは行政の公共事業政策に対して、社会的経済システムのセクターや参加型民主主義の理念、運営方法をどう対峙させるか。B市民セクターの組織運営に参加型民主主義が実践されにくい原因は。Cグローバリゼーションの持つ負の側面をどう評価し提示するのか。

2)第2回研究会の主要な討議テーマ
 参加型システムの具体的ファクターとして、WE21ジャパンが提起する「We通貨」を事例に「地域通貨」の持つ社会的価値の交換、コミュニティの使用価値の交換の理念やしくみ等のもつ意義とは。

3)第3回研究会の主要な討議テーマ

「参加型システムを定義する」まとめ様式のために各章の論点整理をした。その内容は、@参加型システムを、経済合理性を担う資本や行政システムの請負型・統合型の対抗概念として理論化する。A参加調査部会とヒアリング調査チームの成果を理論モデル化する。B参加型システムは組織のあり方の問題でもあり、個人と組織の関係は、個人の参加実態と形態区分を明らかにする。

 参加型の事例として、津久井郡城山町を町民の自主参加によってエコ・ミュージアムにする構想、農村女性の中で起きている自主的な起業グループ等の検証(生活クラブ運動との比較・連携の必要性)が必要であるとされた。

4)第4回から第15回まで、研究会の主要な討議テーマ(10回を除く)

 まとめ様式の章立てにもとづき、総論部分を含めて討議を行った。
@都市や地域における生活の形成と制度の関係性をたどるひとつの方法論として、参加型共同体や直接民主主義の重要性をクローズアップする。事例としてイギリスのパリッシュ、日本では農村共同体、農協にその発露を見いだせるか。

A日本の近代史、現代史における人々の自治領域を拡げる思想的・運動的視点に注目する。

B自由民権運動の限界と脱亜入欧戦略の意味を現在に置き換える。
C参加力の形成方法である多様性と自主性における統一。
D日本の市町村合併とイギリス、ドイツ、スイスのパリッシュやゲマインデの参加型・直接民主主義との比較。
E歴史貫通的家父長制度の影響、アンペイドワーク論、生協及びW.Coの自立的発展を上野千鶴子と行岡良治論争に見る、民主主義と女性の地位向上。
F農村社会学の論点で、民主化を阻む条件の克服。
G21世紀の自主的な共同体を意識的につくる。社会保障制度等を縦の利害関係から横社会の助け合い関係に理解することを参加型システムの価値とする。
Hアンペイドワークとコミュニティワーク、シャドーワークの意味。
I生活クラブ運動の実践と専門的・歴史的理論との関係性のつけ方。
J交換価値から使用価値のもつ意義。
K生協の組合員がすすめる運動と、事務局が事業の連続性の中で結果を出すことの役割の関係性。協同組合に結集した人たちの立場による価値のずれ。
L経済合理性と福祉合理性、価値と価格。
5)第10回拡大研究会('04年3月30日)
  ドイツの地方自治制度の歴史と実態

   講師:森川洋さん(福山大学経済学部教授)

 市民社会が発展する過程で、参加や民主主義が地方自治制度とどのような関係をもってきたか、ド
イツの事例に学ぶために、拡大研究講座を開催した。

6)第2期基礎研究会報告書を'04年8月25日に発行
『参加型市民社会を拓く理論と実現のために「参加型システム」を定義する』
 頒価2000円