後藤でございます。よろしくお願いいたします。
実は、神奈川ネットワーク運動の今回の選挙にあたって、推薦人をお受けしたのですが、心臓の弁を治す大手術を受けたりで、まったくお手伝いができませんで、大変申し訳ございませんでした。
今日は、前半で、4月の統一地方選挙について私の感じ取ったことと、後半で、政党について考えみたことをお話したいと思います。
今回の統一地方選挙で私が注目していたのは、無党派市民がどのように動くかということです。
無党派市民の登場で、印象に残っているのは1967年、美濃部都知事が誕生した時。政党とか労働組合という既存の組織以外に、新都民といわれた人たちが非常に燃えた選挙でした。2選目の71年は「ストップ・ザ・サトウ」を掲げ、東京都の選挙史上最高の票でした。国政では、石原、青島、横山が当選。参議院はタレント選挙が続くわけです。その後、不破共産党ブーム、新自由クラブのブーム、「山が動いた」という土井さんのマドンナブーム。そして新党ブーム。ここで55年体制が終わり、ついに自民党が政権の座を降りて、日本にも政権交代が実現しました。
無党派市民は、模索しながら気に入らないときには棄権もする。いわゆる浮動票です。しかし、意識は高い。その模索の歴史が、35年以上続いてきている。ですから、そろそろ決算のときかなというのが、今度の統一地方選にかけた私の期待だったわけです。
非常に過激なことを言いますが、この4月の統一地方選と来年7月の参議院選挙、その間にある衆議院の総選挙と、この三つを通じた無党派市民にとってのテーマは、第一が「投票に行こう」、第二が「自民を落とせ」、第三が「政治の一新」ということです。私は、自民党に恨みつらみはありません。ただ、政権交代がきちんと行なわれないと政治はよくなりません。ですから、自民党には、もう一度政権から降りてもらいたい。良き野党としての経験を積んでほしい。そして、いずれ政権に戻ればいい。とにかく、政権交代によって新しい政治をつくらなければと思います。
ところが「自民党はしぶとい」、これがこの統一地方選挙の総括的な印象です。無党派市民は、ついに今度も自民党の壁を打ち破れなかった。小泉効果も大。彼は平然と「自民党は壊してもいい」ぐらいは言ってしまう。興味深いのは、小泉自民党総裁は自民党の地方支部がつくったということ。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」、自民党に新しい活路をの思いで小泉内閣の誕生となった。改革することについて、野党が小泉批判をできない変な状況があるから、自民党は今度もしのいじゃった。
しかし、底流で変化が加速している。
無党派市民がこのところずっと対抗してきたものは、いわゆる政官財の鉄のトライアングルです。既得権益共同体ですが、それの地方版があります。政治家が業界団体から注文を取って口利きし、それを役人につなぐ。役人は仕事を確保し、政治家は支持票とお金と人手を、業界は役所から仕事や補助金、時には規制のお目こぼしをもらう。非常に強い既得権益網ができる。その典型が公共事業の土木工事。それに、社会福祉サービスの提供システム。それから医療サービスや学習サービス関連の団体。たとえば、学校給食会。あちこちに既得権益の巣窟みたいなものがある。
それに抗して支持政党なしだけでなく、支持団体なしで選挙をやろう。しがらみなしで当選したいという人たちが、各地で少しずつ出てきました。長野県知事選、横浜市長選、そして神奈川県知事選がそう。鉄のトライアングルはかなり崩れてきたと思います。
無党派市民側が善戦したのが、オール与党対無党派という構図です。神奈川県も、いわばオール与党体制でしたが、それが崩れた。新潟・熊本・横浜の市長選あたりで、非常にはっきり出ていました。 オール与党対無党派市民となりますと、無党派市民が頑張っていることが見えやすくなってきました。
地方の村落共同体みたいなところからも、しがらみ脱出ははじまり、既存の構図がおしまいになってきている。鉄のトライアングルにしろ、オール与党体制にしろ共同体秩序にしろ、根拠が薄れているものは、早めに退場してもらうように頑張る。そのために無党派市民は政治をたしなんできた。
無党派市民は、ピタッと支持できる政党やこれはと参加できる組織・機構が見つからなかった。新しい市民の協働組織もできあがっていない。が、それなりに政治世界にインパクトを及ぼしてきました。この無党派市民をネットは支持基盤にしてきたし、これからもしなければいけない。
選挙は、お祭りみたいに熱中するけれど、終わればわりと空しいもの。皆さんに申し上げておきたいのは、反省は大切ですが、し過ぎないようにということ。反省し過ぎると泥沼に入って出口が見つからない。浸って溺れずで、ちょっと冷めてないといけない。もう一度頑張ってもらわないとまずいと思います。
そうはいっても、今後かなり根本的なところで考え直さないといけない。政策がうまくいった云々のレベルではない。ただ地域活動に戻っても駄目。そういう組織活動は、共産も公明も大変な勢いでやっている。どうすればいいかというと、市民個人の代理人であるというネットのコンセプトからあらためて出発して、今までにない政党のコンセプトをつくり、それから実態をつくっていく。新しいパーティを本格的に生み出すのに知恵を絞ってもらう。少し政党を捉えなおすということをやっていただきたい。
政党というのは、社会の中でどういうポジションなのか。神奈川ネットワーク運動は、法人格は?人格がないとたいへん。政党法の法律の定義には入っているわけですか?入っていない。珍しい存在ですね。これはやっぱりおかしいです。政党に法人格がないということは。そうすると市民機構なのか営利機構なのか政府機構なのか。市民機構(NPOでかつNGO)であるのだが、政権をとれば政府機構を担っていくわけです。政権をとることが政党の目的ですから、政府機構の中にポジションを獲得する。そのことを、ネットの皆さんもぜひいろいろ議論してください。
組織の自立性を損なわないようにしながら、権利義務主体となれる何らかの法人格を持っていく。そういうことを真面目に考えなければいけません。
いろいろな法人がある中、政党政派の政治活動法人というのはあるのだろうか。政党の位置付けがきちんとされない。ここまでくると、法律を改正して法人について整理をする必要があります。設立手続きをどう考えるか。それから税金。課税をどう受け止めるか。政治活動をする組織・機構について、政治資金の問題を含めて大きな整理をしなければいけない。
この4月1日から企業統治の新しい形として、委員会等設置会社ができるようになりました。これからはこの新しいコーポレートガバナンス、企業統治の方式をとっていくところが増えてくると思います。
これは、代表制民主主義のつくりと同型です。国の場合にも、政府本体と行政機関を分けることが大事です。行政は執行役。政府本体のコントロールに従う。その政府本体は、政府の所有者であるタックスペイヤーによってコントロールされる。
自治体の場合には、同じ代表制でもいわゆる大統領制。首長と議会の両方を市民が選ぶかたちで、より民主主義的といえます。ただし、代表制であることにはかわりはありませんから、企業にとっての新しい統治の仕組みと基本的に同じタイプになっていることを、確認しておいて下さい。
今日は、それに新しい論点を加えます。
新しい商法に基づく企業統治においては、機関投資家が大きな役割を果たすことが、暗黙の前提になっています。この機関投資家とは何ぞや。株を買うときに、自分の資産運用を機関投資家に任せるという手があるのです。いわゆる代理人です。この機関投資家による金融というものが、これから日本でも主流になってくると思います。
それと同じことを公共のガバナンスで果たすのが、私の見方では政党ではないか。
市民個人は、みずからの代理人としての政府本体をつくりますが、その政府をつくる前に、市民が政党に支持を与えたり加盟したりして、代理人に指定する。本人が納得のうえで支持政党を決めれば、その政党が本人の代わりにさまざまな政治活動することが可能になります。これをちゃんとできるようにすることが大事。無党派市民が最後行き着くところ、自分たちの納得のいくパーティを持つという戦略に転換すべきだし、その動きも感じられます。
ともかく、一旦は無党派で既成のものはポイしたほうがいい。そして、何か役に立つ代理人をつくらなくてはいけない。代理人がうまく機能すれば、政府をつくるときに有効に働きます。国政の場合には、国会で多数を取り、自分たちのリーダーを内閣総理大臣に指名し政権をとる。同僚議員を多数、行政機関に送り込む。それで政策の実現を、行政機関を通じて行なうことができるわけです。市民もこのルートを通じることによって、自分たちの考えている政策や制度を実現できる。やはり手段は、多様なほうがいい。政党を使わなくてはいけない。
首長制の場合には、首長をとればいきなり政権がとれますから、無党派のままでもやりやすい。議会はとれなくても、無党派政権をつくれてしまうわけです。しかし、もう一度代表制民主主義の中で、政党の機能をどうするかについて考えなければいけません。
最後に、政党内部にガバナンスをつくるにはどうしたらいいでしょう。
政党を市民がコントロールするにはどうしたらいいか。反対派をどう尊重するか。それから、実際の執行役員と政党の支持者との関係、議員と議員以外の政党役員との関係をどうするのか。その種の実務的な問題が発生します。これを巡って、新しいものをつくらなければいけない。
無党派市民を説得できる市民派政党が誕生したとき、日本社会は初めて変わることができる。自民党政治も終わる。ですから、少し皆さんも充電をして、4年後を期していただきたい。4年後の統一地方選挙までにかなり大掛かりなガバナンスの転換を構想していただければと思います。
今日はここまでにいたします。あまり調子に乗ってしゃべっていますと、また入院なんていうことになるといけませんので。(笑い)(拍手)
<文責編集部>